研究概要 |
交付申請書の「研究の目的・研究計画」に照らした研究実績の概要は以下の通りである。 I 20年度に引き続き,ボイル,ホイヘンス等の17世紀科学革命期の科学論・自然哲学に関する西洋科学論及び西洋近世哲学関係図書などの資料の入手と分析を行い,特にスピノザの『往復書簡集』で取り上げられるボイルとの関係に関して,スピノザとボイルの主張の比較検討を行った。 II スピノザの『往復書簡集』の内容を吟味し,形而上学類と科学類に大きく大別し整理するとともに,未邦訳科学的著作『虹に関する代数的論断』及び『確率に関する論断』の書誌学的確認を行うとともに,一部の試訳を英訳書を参考におこなった。 III スピノザの功」概念の中心となるコナトゥスの位置付けを体系的に把握するために,まず倫理学的に「悪の現実性」と「想像力」・「感情」とのの関連の問題に取り組んだ。その成果として,スピノザのコナトゥスは倫理学・哲学体系の基盤であるとの再確認し,「不可避的な悪の現実性」と「善への方途」としてのスピノザ哲学の特徴を倫理的側面からも明確にしえた。 IV 上記課題を究明するため,スピノザ『エチカ』の主題・体系的構成を整理確認するために,関連研究書の比較検討を行った。
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