生命の哲学を構築するという目的を達成するための端緒として、以下の成果を上げた。 i)ソクラテス以前の生命論を概観する準備作業として、ギリシア七賢人の生命観を検討し、著書『哲学の歴史』「ギリシア七賢人」にまとめた。 ii)プラトンの対話編『パイドン』を大学院講義「哲学的人間学I」において取り上げ、その生命論・医学思想を分析した。 iii)擬アリストテレス『問題集』に収められた医学論文を厳密に分析する作業を開始し、次年度の大学院講義「哲学的人間学I」において取り上げる準備をした。 iv)プルタルコスの神学的著作群を翻訳出版し、中期プラトニズムの生命観に日本語で触れる可能性を拓いた。 v)V.v.ヴァイツゼッカー研究会PATHOSOPHIA(月1回)を主宰し、著書『出会いと決断』第5章、第6章を厳密に分析することによって、ヴァイツゼッカーの思想の普及に努めると同時に、翻訳出版の準備を進めた。 vi)西洋古代の医学思想とグロデック、フロイト、ヴァイツゼッカーの「エス」の概念とに共通する「生命の自然治癒力」について学会発表し、ヴァイツゼッカーの思想の普及に努めた。 vii)ソクラテス・プラトンの哲学的生命観と密接に連関する対話の技法について、大学生向けにわかりやすく解説する著書をまとめた。
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