研究概要 |
本年度も前年度に引き続き,『技術者の倫理的責任Ethische Ingenieurverantwortung』を研究協力者と分担して翻訳し,その内容を詳細に検討した。特に,VDIの倫理綱領に当たる「技術者倫理の根本原理Ethische Grundsatze des Ingenieurberufs」の作成に携わった委員会「技術者の倫理的責任」の報告書を詳細に検討し,ドイツにおける技術倫理の特徴について議論した。また,実際にドイツに赴き,委員会「技術者の倫理的責任」の委員長であったシュトウットガルト大学フービッヒ教授へのインタビューを通して,VDIでの取り組みについてや彼の技術倫理に対する考え方を確認した。さらに,VDIのデュッセルドルフ本部を訪問し,技術倫理への取り組みやVDI内の委員会における技術倫理に関しての活動やそれぞれの委員会における哲学者・倫理学者等の役割,高等教育機関との連携などについてインタビューし,その際日本では入手することが困難なたくさんの資料を入手することもでき,研究にとって非常に有意義なものとなった。こうしたことの成果として,「ドイツにおける技術倫理の特徴-VDI『技術者倫理の根本原理』の分析」と題した論文を発表した。 一方,前年度国立国会図書館等で収集した資料なども検討し,VDIにおける技術倫理について考察した。特に,VDI内の委員会のメンバーにもなった哲学者や倫理学者の活動を中心に研究し,その成果の一部として「フィンクの技術論-ドイツにおける技術倫理とVDI(補論)」と題した論文を発表した。さらに,そのことと関連して,今年度も国立国会図書館関西館を訪問し,VDIの雑誌VDI-Zeitschriftを閲覧するとともに,必要な資料についてはコピーした。こうした研究成果については,今後も論文などで発表していく予定である。
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