研究概要 |
本年度も前年度に引き続き,『技術者の倫理的責任Ethische Ingenieurverantwortung』の翻訳を研究協力者と詳細に検討する一方,前年度国立国会図書館等で収集した資料なども検討し,VDI内の委員会のメンバーにもなったゲーレンの活動を中心に研究し,その成果の一部として「ゲーレンの技術論-ドイツにおける技術倫理とVDI(補論2)」と題した論文を発表した。 そして最終年度に当たる本年度は,この研究に関連して発表した論文と,『技術者の倫理的責任』の元となったVDIの報告書Report31の翻訳,さらにはVDIの作成した倫理綱領「技術者倫理の根本原理Ethische Grundsatze des Ingenieurberufs」の翻訳を研究成果報告書にまとめた。その際,VDIのデュッセルドルフ本部を昨年度に引き続き訪問し,技術倫理に関する取り組みについて情報交換を行うともに,翻訳の掲載について承認を得た。また,将来『技術者の倫理的責任』の翻訳を出版することも念頭に置いて,出版社であるシグマ社にも連絡を取ってもらい,出版する際にはシグマ社に連絡すれば著作権の問題はないとの回答もいただいた。 一方,このドイツ滞在の際には,今年度からダルムシュタット大学に赴任されたフービッヒ教授も訪問し,翻訳の過程で生じた疑問について確認するとともに,ダルムシュタット大学で開講されている講義「文化としての技術Technik als Kultur」も聴講させていただいた。技術倫理そのものの授業ではなかったものの,授業の進め方など非常に参考になった。 こうしたドイツ滞在の成果を持ち帰り,最終的に研究成果報告書を仕上げた。
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