本研究は、清代初期に活躍した代表的な中国ムスリム知識人、劉智が著した『天方性理』を、宋学・明学といった中国の学問伝統、イスラーム思想、同時期に中国で流通していたイエズス会士の著作等を参照し、中国思想、科学史、歴史学、イスラーム思想の専門家が共同で読み解き、思想構造を把握したうえで、最終的に訳・注解を作成することを主な目的とする。そのために以下の諸点を研究計画に含めた。 (1)『天方性理』五巻のうち巻一、巻二、巻四はすでに訳・注解を作成し、公表しているため、研究会において巻三と巻五の多角的読解を行うことで、巻三、巻五の思想構造を当時の学問状況と照らしあわせて炙り出していく。 (2)(1)で行った作業をもとに訳・注解を作成し、随時、当研究会が発行する『中国伊斯蘭思想研究』で発表していく。 (3)随時、研究分担者は上記の訳・注解に資するため各々の専門分野に照らして狭くは劉智に関して、広くは中国イスラーム思想に関して考察する。
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