平成20年度は、関係の研究者たちを集めて意見交換のための研究会を開催し、年度の方針を固めることからスタートした。 ラーマリンガルを中心とするタミル・ヒンドゥー教のスィッタルに関連する資料を広範に収集するとともに、夏季休暇を利用してインドを訪れ、現地での資料集めと研究者との意見交換をこなした。帰国後、その成果を活かし、ラーマリンガルの著した『アルット・ペルン・ジョーディ』と『ティルヴァルットパー』に現れた神観念などに関し、日本印度学佛教学会で研究発表を行い、さらに英語論文として同学会誌Journal of Indian and Buddhist Studies(『印度学仏教学研究』英語版)に寄稿した。 その後、共同利用法人総合地球環境学研究所での共同研究の成果報告書に、「インダス文明と宗教-神観念や生命観の問題にも触れて」を寄稿し、南インドの宗教文化に関する本研究計画関連の成果を盛り込んだ。学際的プロジェクトにインド古典学の研究を応用し得たのは意義深いことと考える。 2009年2月には単著『ヨーガの思想』を講談社から上梓し、関連の研究成果を、専門家のみならず一般にも広く還元し得たことは有意義だったと考えている。
|