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2010 年度 実績報告書

初期新ニヤーヤ学派における遍充概念の形成

研究課題

研究課題/領域番号 20520045
研究機関名古屋大学

研究代表者

和田 壽弘  名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00201260)

キーワードインド学 / インド論理学 / 新ニヤーヤ学 / シャシャダラ / 『ニヤーヤ・シッダーンタ・ディーパ』 / ガンゲーシャ
研究概要

初期新ニヤーヤ学派のシャシャダラによる『ニヤーヤ・シッダーンタ・ディーパ』「遍充章」は、「反論部」と「答論部」とで構成され、さらに「反論部」は遍充の17の暫定定義を提示して逐次批判する部分と、続く「答論部」の導入となる部分とに分けられる。本研究期間中に、「反論部」の中の暫定定義批判の部分を英訳し分析し終え、"Sasadhara on Invariable Concomitance (vyapti)(1)"というタイトルで海外の記念論集に2009年に寄稿したが、残念ながら未だ出版されてない。本年は、「遍充章」の残余部分をすべて英訳と分析をし終え、現在、英語の校閲中である。
本研究の結果、以下の点が明らかとなった。シャシャダラの認める3つの確定定義は、以下の点で論理的には彼以前のものより正確である。(1)ウダヤナ(11世紀)の時代には有力であった「付帯条件」(upadhi)を用いて定義をしない、(2)定義にトートロジーを招く「論証理由」(hetu)と「論証対象」(sadhya)という概念を用いない、(3)「制限者」という概念を用いる。この3点はガンゲーシャに受け継がれる。
新ニヤーヤ学の文献を特徴として従来、(1)「制限者」(avacchedaka)という概念の使用、(2)否定辞の多用と非存在(abhava)概念の多用、(3)接辞の連続使用などが挙げられてきた。これらはいずれも「遍充章」に見られ、新ニヤーヤ学はガンゲーシャ以前に始まったという本研究者の見解を支持する。
本研究代表者は、新ニヤーヤ学文献の特徴として「関係概念による分析」を主張してきた。この特徴は上記の(1)(3)に関わるが、本研究の成果と矛盾するものではなく、むしろこの成果によって補強される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The Logical Structure of the Third and Fifth Definitions in the Vyaptipancaka Section of Gangesa's Tattvacintamani2010

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Wada
    • 雑誌名

      Journal of the Indian Academy of Philosophy

      巻: 48 ページ: 1-18

    • 査読あり

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公開日: 2012-07-19  

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