研究課題
基盤研究(C)
インド最後期の密教経典である『ダーカールナヴァ・タントラ』が説くヘールカ曼荼羅は、サンヴァラ系密教伝統におけるヘールカ曼荼羅の尊格たちを中核とし、その他の密教諸伝統の曼荼羅の尊格たちやインド諸宗教に広く見られる下級神たち、そしてインド社会の親族構造を構成する親族成員(を尊格化した者たち)や、仏教コスモスを構成する神格たちから構成されたものであり、さらにこの曼荼羅全体に仏教コスモロジーとしての意味が付与されるという構造になっている。また、『ダーカールナヴァ・タントラ』の各章の教説は、上述ヘールカ曼荼羅の中核となるサンヴァラ系密教伝統の尊格たちと関連付けられている。このように、『ダーカールナヴァ・タントラ』には、サンヴァラ系密教伝統を骨格として仏教内外の様々な要素をそのコスモロジーの内に包摂した体系を構築しようという意図が見られる。
すべて 2010 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件)
International Journal of South Asian Studies(Japanese Association for South Asian Studies) Vol. 3
ページ: 53-79
Genesis and Development of Tantrism (edited by Shingo Einoo, Institute of Oriental Culture Special Series 23)(Institute of Oriental Culture, the University of Tokyo)
ページ: 515-562
Tantric Studies(Center for Tantric Studies, University of Hamburg) Vol.1
ページ: 131-154