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2009 年度 実績報告書

イスラムのグローバル化による「イスラム共同体」の構造的変化についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 20520054
研究機関東京外国語大学

研究代表者

八木 久美子  東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90251561)

キーワードイスラム / イスラーム / グローバル化 / 共同体 / 権威 / ウラマー / 世俗化
研究概要

伝統的なイスラム共同体には、ウラマーと呼ばれる宗教諸学の専門家が緩やかなネットワークを形成しつつ、そのなかで共同体の歩むべき方向性を議論、決定し、それに一般の信徒が従うという構造があった。ウラマーは厳密な意味では聖職者とは言えないが、この点では宗教的な指導者として一般の信徒とは区別され、他の宗教における聖職者の機能の一部を果たしていたと言える。
しかしながら、グローバル化が進行するなかで、ウラマーと一般信徒、あるいは「聖職者」と「俗人」という二分法を覆すような現象がいくつか生まれた。21年度はそれを代表するものとして、近年のいわゆる「俗人説教師」の台頭という現象に注目した。
21年度の研究の成果として確認できた事実は以下のとおりである。
1)「俗人説教師」の多くは、インターネットや衛星放送を伝達の手段として主に使用しており、ターゲットはこれらのメディアを使いこなすことのでさる階層に限定されているということ。
2)また、自らが西洋的な文化、生活様式に親しんでいる事実を強調し、いわゆる欧米文化への共感を積極的に打ち出しているということ。
以上の点から、次のような点が明らかになった。
1)グローバル化が進行するなかで、イスラム教徒の生活様式や価値観も多様化し、それに従って同じく多様化する宗教的ニーズに答えているのが「俗人説教師」であるということ。
2)「俗人説教師」が(伝統的な)宗教的専門家とは認められないにもかかわらず支持されるのは、支持層にとって自分たちの生活様式や価値観を真に理解する唯一の宗教家と受けとめられ、ある種の「権威」が付与されているからであるということ。
21年度の最大の成果としては、本研究の仮説として挙げていたイスラム共同体内部の「中心と周縁」構造の揺らぎが、共同体内部の権威の多極化という点から検証できた点である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 多様化するイスラムのかたち-『俗人化』のもたらす可能性2010

    • 著者名/発表者名
      八木久美子
    • 雑誌名

      総合文化研究 13

      ページ: 119-134

  • [学会発表] 「俗人」説教師の活躍とイスラムにおける権威の問題2009

    • 著者名/発表者名
      八木久美子
    • 学会等名
      日本宗教学会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2009-09-12

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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