本研究は、デュルケーム、ユベール、モースらの共同作業に基づく社会学年報学派の宗教研究の全体像を明らかにし、その宗教学史的意義を再検討することを目的としている。この目的達成のために、 (1)l'Institut Memoires de l'edition contem-poraine (IMEC)のFonds Mauss に所蔵されているモース宛ての書簡や草稿など、一次資料を分析・検討する。 (2)ユベールとモースの共同作業によって刊行された著作、とりわけ「供犠の本質と機能に関する試論」(1899年、以後「供犠論」と略記)ならびに「呪術の一般理論素描」(1904年、以後「呪術論」と略記)を、関連する他の論文・書評等も視野に収めつつ、精細に検討し、その生成過程を具体的に解明する。 (3)併せて当時の宗教学史的な時代背景や影響関係、さらには社会的・文化的コンテクストも考慮に入れながら、社会学年報学派の宗教研究における共同作業の内実を解明し、その全体像を提示する。
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