関東地方には、親鸞に関わる伝説が数多く存在する。これらは、いわゆる二十四輩寺院とかかわるものである。一昨年は、関東の二十四輩寺院の悉皆的調査を行って在地性の強い親鸞絵伝(以下では関東絵伝と称する)を確認した。また昨年度は、関東・西念寺などを再調査して、あらたに大分・清正寺に関東絵伝の流布があることを知った。つまり関東の親鸞伝説は、関東にとどまらない広がりを持っているわけである。今年度は、そうした流布の在り方を調査・確認しその背景について考える。 一方、地方へ写された二十四輩のミニ巡礼地の探索とその成立について、ひきつづき調査を行う。主として四国地方をフィールドとする。昨年度は新たにこれまで報告されていないミニ巡礼地を三か所発見した。多くの場合、その成立伝承は途絶えており、それらの原風景を知ることは困難であるが、できうる限り再構成を試みる。またあらたなミニ巡礼地を発見していき、それらによって二十四輩信仰の地方移入の在り方について考えたい。 なおミニ巡礼地については、研究協力者の橋本章彦氏によって日本宗教民俗学会の2009年11月例会にてその時点での成果を報告した。
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