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2011 年度 実績報告書

四世紀カッパドキア三教父による救貧の思想と実践

研究課題

研究課題/領域番号 20520063
研究機関関西学院大学

研究代表者

土井 健司  関西学院大学, 神学部, 教授 (70242998)

キーワードバシレイオス / バシレイアス / 救貧 / プトコトロフェイオン
研究概要

2011年度は、最終年度であるため2010年度までの研究において積み残した課題を研究すべく実施した。当初三つの課題を掲げたが、第一のバシレイオスのフィランスロピア概念の全用例の研究は最後まで至ることが出来なかった。また第三の課題であったユリアヌス帝のフィランスロピア論は、検討した結果、先行研究で十分と判断した。第二の課題としてバシレイオスの設立した病院施設「バシレイアス」については論文「カイサレアのバシレイオスと「バシレイアス」」にまとめた。以下「バシレイアス」について論文より抜粋しておく。
バシレイアスは「三七二年から三七三年の間に、ウァレンス帝から賜ったカイサレア近郊の土地に建てたものであって、数棟の施設から成り立っていた。そのなかには修道施設、礼拝堂も含まれており、さらに生きるための技術、たとえば調理のための建物などもあり、看護者、医者、牛馬、さらに案内人として聖職者たちもいた。こうしてナジアンゾスのグレゴリオスはこの施設群を「新しい町」と呼ぶ。この施設は立派なものであり、バシレイオス自身によって「カタゴギア」「クセノドケイオン」と呼ばれ、また「プトコトロフェイオン」とも呼ばれている。バシレイオスは富裕層の寄付によってこの施設を運営し、そのため、おそらく患者や旅人などは無料であったのであろう。また彼は定期的にこの施設を訪れていた。そこでは旅人、異邦人などの貧者が世話を受けていたが、とりわけレプラの病貧者が手当てを受けており、バシレイオス自身が率先してその治療に当たった。その看護、世話、治療などは修道士たちによっても実践され、それはバシレイオスの修道的生活のプログラムに含まれていた。」
なお年度内に研究全体を一書にまどめることはかなわなかったが、全体をまとめる素描は、論文「なぜ神は人となったのか-古代キリスト教における受肉論の射程」や招待講演において発表した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] カイサレアのバシレイオスと「バシレイアス」2012

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 雑誌名

      宗教研究

      巻: 372号 ページ: 1-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] なぜ神は人となったのか-古代キリスト教における受肉論の射程2012

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 雑誌名

      理想

      巻: 688号 ページ: 53-63

  • [学会発表] なぜ神は人となったのか-古代キリスト教における受肉論の射程2012

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 学会等名
      キリスト教史学会西日本部会
    • 発表場所
      関西学院大学梅田キャンパス
    • 年月日
      2012-03-03
  • [図書] キリスト教は戦争好きか2012

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 総ページ数
      251
    • 出版者
      朝日新聞出版

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公開日: 2013-06-26  

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