1 重慶での記念館の重慶爆撃の展示を調査するとともに、成都市郊外にある民間の戦争記念館・建川博物館の調査を行った。と言っても中国の場合、民間の自由な展示はあり得ず、公的な戦争記念館と齟齬をきたす内容は読み取れなかった。 また南京で、元日本軍慰安所として取り壊しを免れた福安里にある建物の調査を行った。 2 従来型の思想史研究としては、戦後日本を代表する「健全な」ナショナリスト・丸山真男や竹内好等についての書評原稿をまとめた。現在校正中であり、夏には共著『日本思想史の30冊』として発行予定である。また、かつて発表した論文「ナショナリズムと文化研究-戦後日本文化論の何が問題なのか」を、「ナショナリズムと「日本文化論--「文化」の境界を越えるために」と改め書き直した。現在印刷中である。 3 戦争の記憶をめぐる日中の比較を踏まえた口頭発表として、南京大学で国際シンポ「南京をめぐる記憶の場」において「平和国家日本という語り-「ヒロシマ」「平和憲法」の集合的記憶」と題して報告し、討論を行った。また成都では、四川師範大学において「日本における靖国神社問題」と題して日本ナショナリズムの問題について、大学院生に講演を行った。
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