研究課題
手島:スピノザと聖書批判とリシャール・シモンの資料説がどのような位置関係にあるかの基本的な認識の輪郭を描く上で、リシャール・シモンによるアヴァルバネルへの言及からユダヤ教内における資料説の萌芽が疑われるが、アヴァルバネルが書き残した注解テキストが膨大な量になるためにその根拠となる決定的テキストを認めることにはさらに時間を要する作業という認識が今年度の成果の一つである。むしろ「批判」概念の違いを考える上では、スピノザが本文批評における解決を放棄する(二者択一をあきらめる)思考に進むのに対して、シモンは本文批評の問題の解決にこだわる立場をとることがより明白になってきたことで、その差異を生み出す思想的な背景についての考察が必要と考え、この関心から二種類の名詞が引き起こす認識問題(イブン・エズラの普通名詞vs.<個>有名詞)に注目し、シモンとスピノザのテキスト観の違いもイブン・エズラの名詞論から宗教哲学的に説明できる可能性を探った。伊藤:リシャール・シモンがその独自の方法論を築きそして実践して行く上で批判的な検討の対象となった16世紀のクリスチャン・ヘブライストたちの仕事の中から、フランスのヘブライストたち、特にジルベール・ジェネブラールの聖書注解やヘブライ語文献研究の性質と限界を探る作業を行った。今後、許されるなら、手島と伊藤はリシャール・シモンが批判者に答えるアポロジーの文章を共同で吟味したいという希望を持っている。
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旧約学研究 第6号
ページ: 25-46
Traduction et Critique, Actes du Colloque internationl pour commemorer le 500^<e_<me>> anniversaire de la naissance d'Etienne Dolet(1509-1546)
ページ: 189-201