研究課題/領域番号 |
20520086
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
田中 修二 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (70336246)
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研究分担者 |
篠原 聰 東海大学, 課程資格教育センター, 准教授 (70439694)
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キーワード | 彫刻 / 近代日本 / ロダニズム / 生命 / 公共空間 / 両大戦間期 / 古寺巡礼 / 工芸 |
研究概要 |
1907~1950年頃に活動した彫刻家とその作品調査を、研究分担者、研究協力者とともに進めた。 このうち1907~1926年については、2012[平成24]年1月に刊行した『近代日本彫刻集成第二巻明治後期・大正編』(国書刊行会)にまとめた。同書が対象とした、第1回文展が始まる1907[明治40]年から大正期いっぱいの時代は、文展の開始により美術界の社会的枠組みが確立し、彫刻表現の点でもいわゆる「官展アカデミズム」が成立し、さらにフランスの彫刻家ロダンが日本に本格的に紹介されて、「内部生命」を重視した新たな表現が展開する時期である。 同書ではこの時期の特徴的な動向をふまえ、「展覧会の時代」「生命と素材」「彫刻と公共空間」「両大戦間期の彫刻」「古寺巡礼の時代」「彫刻の境界」の6章に分けて、それぞれの概説および約100点の作品図版を作品解説とともに収録したほか、収録作品の一部の写真撮影、同時代に活躍した彫刻家たちについての「作家紹介」、通史、重要文献再録、年表、参考文献一覧の執筆・作成を行なった。 これと並行して1927年~1950年頃を扱う第三巻(2013[平成25]年1月刊行予定)について準備を進めた。同書では「構造と量塊」「彫刻的な空間」「分散と収斂」「モニュメントと戦争」「戦争の時代の仏と神」「戦後へ」の6章構成とすることとし(すべて仮題)、各章の概説担当者と図版掲載作品の選定を進めるとともに、資料収集・作品「調査などを行なった。また第三巻ではとくに近代日本彫刻に関わる素材と技法についての解説を設けることとし、その内容について研究協力者と検討を重ねた。 あわせて研究代表者、研究分担者、研究協力者がそれぞれ、個々の関心に応じて近代日本彫刻史に関する調査・研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『近代日本彫刻集成第二巻』は当初の予定より数ヶ月遅れたものの、年度内に刊行することができた。第三巻についてはいまのところほぼ当初の予定通り、作業が進行している。 また、広島県立美術館ほかで開催された「抱きしめたい!近代日本の木彫展」に関して、田中と研究協力者の藤井明が協力および図録への執筆をしたほか、本研究に参加する研究者それぞれが論文執筆や口頭発表を精力的に行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
『近代日本彫刻集成第三巻』刊行のため、研究代表者、研究分担者、研究協力者が緊密に連絡を取り合い、作業を進めていく。これまで4年間研究を共同で進めてきた中で、研究者間の連携もよりスムーズとなった。今年度は、Web上でフォルダを共有できるDropboxを使用するなど、これまで時間がかかっていた作品画像の収集やデータのやりとりをさらに効率的に行ない、緊密に連絡を取り合うことで、より充実した調査・研究を進めていく。
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