研究課題/領域番号 |
20520087
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
保井 亜弓 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (30275086)
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研究分担者 |
神谷 佳男 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (10264681)
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キーワード | 版画技法 / エッチング / アプラアム・ボス / ジャック・カロ / Abraham Bosse / Jacques Callot / etching / technique |
研究概要 |
アブラアム・ボスの『腐蝕銅版画技法』において初めて詳述されたエッチング技法を、現存する凹銅版画原版のマイクロスコープによる調査によって明らかにする本研究の海外現地調査を、2009年9月後半から10月初めに、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館、パリのルーヴル美術館カルコグラフィー、トゥール美術館、ナンシーのロレーヌ美術館、ブリュッセルのカルコグラフィーにおいて行った。今回トゥール美術館が所蔵す1点のボスの原版を調査したが、ボスの原版は現存数がたいへん少ない。晩年の作であるルーヴル美術館カルコグラフィーのシリーズと、カロの連作のタイトルとして制作した1点に加えて今回調査を行ったことで、初期から晩年までのそれぞれの段階の原版をほぼ網羅したといえる。トゥール美術館では、原版所蔵の経緯にかんする資料も入手することができた。ルーヴル美術館カルコグラフィーとロレーヌ美術館では、2度目の調査として前回の結果を踏まえて撮影に工夫を加え、より精度の高い画像を撮影することができた。また、ブリュッセルのカルコグラフィーで17世紀の比較例としてクロード・メランおよびジャック・カロの原版を調査した。ヴィクトリア&アルバート美術館では、レンブラントとダニエル・ホップファーの原版を調査した。ロンドン調査は保井が単独で行った。これまでの調査結果の分析はまだ完結していないものの、デジタル・マイクロスコープでの画像によって、より詳細な技法の段階が明らかになってきている。ボスの『腐蝕銅版画技法』との記述の一致もみられることが確認されている。 また、2010年1月に本学でのワークショップのために来日した海外研究協力者であるルーヴル美術館カルコグラフィー室長フランソワ・ボドカン氏と本年度の研究成果について討議を行い、専門的な見地から意見を交換した。
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