研究概要 |
初年度にあたる今年度は研究実施計画書にもとづいて、まず、ブシコーの画家工房の彩色技法とりわけ、空気遠近法の形成と展開に照準をあて、そのための重要な位置を占めるB・アングリクス著『事物の特性の書』2写本(Fr.9141,MS.251)のモノグラフを最新のものとするべく重要関連諸写本の調査(イギリス、ドイツ、フランス方面)を予定通り行うことができた。ついで、聖母戴冠の画家の全作品調査を完成させるべく米国方面への調査を行い(ワシントンの1板絵をのぞき)ほぼその目的を達成することができた。さらに、聖母戴冠の画家彩色法に関して、現時点での調査成果を論文にまとめた。具体的には、前半期:夏季8月〜9月にかけて海外調査研究を行った。調査を行った日程、訪れた機関、調査対象作品については1)写本ミニアチュールの調査:(1)8/11シャンティイ図書館(2)8/14-15ヴォルフェンビュテル・アウグスト図書館『事物の特性の書』Cod.Guelf(3)8/18-21大英図書館において(1)Egerton1070(2)Add.29433写本他(4)8/27-29クリーヴランド美術館において(1)『ミサ典書』Fond.62.287(2)『シャルル・ル・ノーブルの時 書』MS.64.40写本他(5)8/29-31ワシントン・ナショナルギャラリー(6)パリ、フランス国立図書館において(1)『事物の特性の書』Fr.9141(2)Fr.22531写本他調査、2)文献資料調査:(1)フランス国立図書館(2)国立美術史研究所INHA、3)研究者訪問:I.V-プティ氏、A.シャトレ名誉教授等と意見や情報交換を行った。 後半期:海外調査から帰国後:帰国後は1)聖母戴冠の画家彩色系譜について論文を執筆、さらに2)『事物の特性の書』の2写本はじめ関連諸写本調査結果の整理および図版・資料収集、論説の見直し修正補足を行った。
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