本年は、碑石80数石、碑誌130数石の中から特に以下の9石、道徳寺碑・同州三蔵聖教序碑・道因法師碑・三蔵聖教序碑・大智禅師碑・隆闡法師碑・梁守謙碑・玄秘塔碑・恵堅禅師碑を主要なる研究対象となした。 基本作業としては、実物石碑に対しては、これまで行われていなかった実測図の作成、拓本に関しては拓本の実測写真をすべて作成した。 次にこれらの分析方法として、それらの拓本写真より、モティーフ配置図を作成し、モティーフ構成を分析する基本図を作成した。 さらに、モティーフに関しては、モティーフを単なるテーマの融合ではなく、モティーフを造形的に系統化できるように分析した。 具体的研究発表としては、日本中国考古学会において「西安碑林博物館石彫文様の造形分析」を発表した。そこでは、造形的モティーフ分析により、モティーフの分類が可能になる方法を論じた。 12月5日の日本文化史学会では、「西安碑林碑石文様にみるモティーフ融合過程の造形分析」を発表した。そこでは、従来のモティーフ研究が、ただの題材研究であったのに対して、文様構造を分析することで、文様モティーフの融合までを明らかにすることができるようになった。
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