本研究では欧州の木彫について調査・研究を行い、日本の木彫表現との比較を行うため、平成21度においては主に英国、ベルギー王国、フランス共和国において調査を行った。 英国ではロンドンにおいて、テート・ブリテン、テート・モダン、大英博物館また、ロンドン近郊のペリグリーンにおいてヘンリー・ムーア・ファンデーション・ペリグリーンでの実地調査を行った。テート・ブリテンでは現代の作家であるジュゼッペ・ペノーネやチャップマン兄弟等による木彫作品について調査を行った。ヘンリー・ムーア・ファンデーションにおいては、ヘンリー・ムーア財団職員である専門資料管理者や彫刻管理・修復士の方々の協力を得ることができ、財団で収蔵しているヘンリー・ムーアの木彫作品について、調査および意見交換を行うことができた。英国では他にリバプールにおいてテートリバプールでの実地調査を行った。ベルギー王国ではブリュッセルの王立美術館等においてオシップ・ザッキンの日本ではあまり紹介されたことのない巨大な木彫作品について、フランス王国ではパリにおいて、ルーブル美術館、パリ市立近代美術館、中世美術館、ザッキン美術館、ポンピドー内の国立近代美術館等で調査を行った。ヘンリー・ムーアやオシップ・ザッキンが繰り返し大作で使用していたニレ材について実際に使用されている作品を通して検証を行うことができた。 また、調査と併行して、研究内容のひとつである木彫に関する造形的試みについて、実際に木彫制作を通して検証を行った。
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