研究概要 |
本研究は,ヨーゼフ二世とレオポルト二世という2代の皇帝が統治した1765年8月から1792年2月までのウィーンにおけるイタリア・オペラ公演について,そのレパートリーがイタリアの主要5都市(ナポリ,ローマ,フィレンツェ,ヴェネツィア,ミラノ)とどのような関わりにおいて形成されたのかを追求するために,各都市のオペラ公演についてのデータベース作成とその分析を通じて,それらの間にどのような相関関係があるのか,またそれぞれの都市のオペラ公演の特色はどのような点にあるのかを明らかにしようとするものである。初年度である平成20年度においては,まず,ウィーンの宮廷劇場における公演にかんして,これまで蓄積してきたデータをより精密なものとし,また,イタリア諸都市にかんする研究の第一歩として,新たにフィレンツェにかんするデータ入力を行った。さらに,日本音楽学会関東支部特別例会(2008年10月4目,立教大学)におけるシンポジウムで,特に1790/91年のシーズンにおけるウィーンのオペラ公演について発表を行い,また,論文にもまとめた。このシーズンの後半,11月以降,ウィーンの宮廷劇場の公演の体制は,新皇帝レオポルト二世により刷新されたが,その意義を理解するためには,皇帝が大公として居住していたフィレンツェにおける劇場公演を踏まえる必要もある。本年度における研究は,その方向性における考察の基礎となるべきものとしても位置づけることができる。
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