研究課題
1) 研究代表者(龍村)は2009年5月5-7日にわたりカザフスタンのアルマティ(アルマトイ)の音楽学院(コンセルヴァトワール)で開催された国際会議『中央アジア民族の伝統音楽文化』」に参加。「東・中央・西アジアにおける古典的叙情詩の自由リズムによる独唱様式について」という題名で研究発表を行い好評を得た。科研費は未使用(夏の調査のために温存)。中央アジアから旧ソ連邦諸国の音楽状況について新たな知見を得た。アルマティのコンセルヴァトワールでは、ロシアに習った音楽教育システムにより西洋音楽と中央アジアの民族音楽の両方を重視する教育が行われている。2) 夏に予定していた新彊ウイグル自治区の調査は、当地の政情悪化に伴い、ウルムチの研究協力者とまったく連絡が取れない状態となり中止。代わりに以下の調査を行った。(1) 龍村と連携研究者の小柴・谷、及びイスラエルから参加の研究協力者・屋山は、トルコのイスタンブールで9月にフィールド調査を行い、3人の音楽家(ウード奏者、太鼓奏者、女性歌手)による個々の声楽・器楽演奏とインタヴューを収録。さらに伝統音楽に基づく現代の音楽のライブコンサートやトルコ軍楽隊の演奏を録画、またイスタンブールの複数のモスクでのアザーンの収録、およびギリシャ正教のミサの貴重な収録を行った。楽器製作所でのインタヴユーも収録。しだいに西欧化が進行しつつあるイスタンブール伝統音楽の現状と、しかしゆるぎないイスラームの信仰のありよう、そして古来のギリシャ正教が細々と、しかし確かに息づく様子が調査できた。(2) 小柴はトルコ調査の前にウズベキスタンで行われた国際音楽祭に参加し、多くの中央アジア音楽の収録を行った。(3) 龍村の企画・司会で2010年1月に行われた比較文明学会と民族藝術学会の合同例会をこの研究グループの発表の機会とし、小柴と谷がそれぞれの研究について発衣を行った。(4) 龍村は比較文明学会大会で、アジア・アフリカ音楽の「無形文化遺産」としての意義についての比較美学的発表を行った。
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Traditional Musical Culture of the Central Asian People (Report of the International Conference、 Almaty 2009), Ministry of Education and Science of Kazakhstan Republic and Kazakh Kurmangazy National Conservatory
ページ: 62-62