3年間の研究期間内で、1.音色記号の定義、2.自然音、電子音、コンピュータ音楽の譜面などのデータ収集、3.電子音色辞書の構築、4.音色記号を用いた譜面作成とコンサート等を通じた社会への啓蒙、の4つの達成すべき目標をあげた。1.の音色記号は、音声言語で用いるIPA(International Phonetic Alphabet)を基礎にした記述体系を採用しているが、この基本的な知覚特性の検討を始めた。まだこの成果を反映できないため、現在は登録者の擬音語表記を用いている。また、2.は、21年度はラテンカウベル他の打楽器音データ収集を充実させた。譜面の収集はまだ手が付いていない。 3.の電子音色辞書の構築では、20年度にネットワーク上のサーバクライアントシステムとしての音の登録、編集などの基本機能をwebアプリケーションとして製作したが、21年度は音オブジェクトの表示GUIなどをデスクトップアプリケーションに変更して利便性を向上させた。音表示は楽音の他の環境音も3次元上で扱えるよう、断続音や瞬時減衰音をも表現する特徴量の検討を行った。また、4.の本研究目的の啓蒙のため、21年5月9日に愛知県芸術劇場において、チェロに喋らせる楽曲を制作し、そこで譜面に音韻を記入した。21年10月15日に東京交響楽団によるオーケストラと鳥の泣き声を擬似した電子音とを融合させ、聞こえをシンボルで書かせた作品を制作し初演することにより、コンピュータ音楽の譜面表現、という考えを主張し、広報した。
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