平成21年度は、熊本県立博物館所蔵旧細川家能楽鼓胴の調査並びに京都市在住の能楽宗家曽和家の保存する蒔絵鼓胴12筒および蒔絵鼓箱を調査した。関東区域では浅草宮本卯之助太鼓博物館を訪ね蒔絵大鼓6筒、小鼓胴6筒を調査し、実測図および写真資料の作成を行った。また、能楽関連調査として長野県佐久を訪ねて能楽鼓胴とともに衣装用の平絹の作成状況も調査した。細川家旧蔵の能楽資料は、第2時世界大戦後初めて開梱された未整理の大鼓7筒、小鼓胴2筒を含む能楽資料並びに文献史料で、平成23年度に文化庁予算により本格調査を実施することとなった。また、本期間中に著名な能楽鼓胴コレクターである生田家の蒔絵鼓胴35筒が縁あって千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館に収集されることになり、その購入を伴う研究のための一助を行えたことは科学研究補助事業推進の大きな成果になったと考えている。調査を行った蒔絵鼓胴の調書、作図、図版はCDにまとめ協力機関に送付する予定である。
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