本研究の目的は、1.昭和初期の家庭で享受された豊穣な映像文化の様相を明らかにするとともに、京都における映像文化アーカイヴの一端に、現代の映像文化の原点ともいえる小型映画でのホーム・ムービーの受容様相を加えるべく、2.小型映画フィルムの保存および復元方法の提案・実践を行い、3.今後の小型映画文化アーカイヴの基礎を築くことにある。具体的には、5年の研究期間内に、以下(1)(2)の2種コレクションを主な対象としたうえで、(1)〜(6)を明らかにする。 (1)昭和初期の京都ならびに京都の映画文化状況を写した小型映画40本 (2)大正期から昭和初期にかけての9.5mm作品200本 (1)フィルムの状態と特徴、(2)フィルムのカタロギング方法とカタロギングの完成、(3)小型映画文化(フィルムならびに受容形態)の復元方法と保存方法、(4)媒体変換(テレシネ)による映像情報の複製方法、(5)作品内容と評価に関する文化的調査、(6)国内での小型映画文化保存の現状。 平成20年度は研究計画に基づいて、以下I〜IVに大別される4つの研究活動を実施し、研究初年度として、研究素材の状態確認と設備整備、物品管理としてのカタロギング、デジタル化の着手、等の重要な基礎固めをおこなった。 I.(1)を対象に(1)の検証と(4)の実施、II.(2)のうち状態の良好な100本を対象に(1)の検証と(2)および(4)の着手、III.調査上必要な機器の整備、IV.フィルムの状態と特徴の調査方法に関するワークショップ これにより次年度に、(2)の映像情報を含めたカタロギングの一部完成、(4)の多様な複製方法の検証、複製データを用いた(5)の調査、を平行して実施できる体制を整えることができ、確実に研究を推進できる計画である。
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