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2009 年度 実績報告書

ピクトリアリズムと近代視覚体制の危機

研究課題

研究課題/領域番号 20520143
研究機関大阪芸術大学

研究代表者

犬伏 雅一  大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (70340594)

キーワード芸術諸学 / ピクトリアリズム / 視覚体制 / カメラ / 身体 / モダニズム
研究概要

今年度はスティーグリッツとの蜜月を経て、やがていわば敵対関係に入ってしまったフレッド・ホランド・デイの写真行為の検討、考察に力を注いだ。スティーグリッツが近代科学的言説の空間からその写真行為へと展開したのに対してデイの場合は、イギリスロマン主義の芸術思潮に加えて、それと密接な関係にあるアメリカにおけるArts&Crafts Movementの開く言説空間から独自の写真行為へと参入した。スティーグリッツがその写真行為を近代科学的の手法によって実験的に遂行し、その限りでP.H.エマソンの自然主義的写真に依拠する線上にあるのに対して、デイはもう一人のR.W.エマソン(両者奇しくも親戚関係にある)のアメリカ的「ロマン主義」の線上に位置する。このようなマクロな視点を前提として、デイが19世紀末写真に関わりを持ち始めた際の具体的状況を、デイの言説、写真作品、そしてデイの活動の場であったロンドンならびにボストンの文化的状況などの分析を通して解明しようとした。今年度はイギリスにおけるデイの活躍-キーツ研究と彼の写真活動-を文献ならびにロンドンでの現地調査により検討した。この調査等で明らかになったことの一部はすでに論文として発表した。ピクトリアリズムというレッテルの下にその時代の写真行為を粗方回収してきた写真言説を幾分か解体して、スティーグリッツを相対化することができたはずである。なお、ピクトリアリズムの写真言説の検討は昨年に引き続いて行ったが、写真行為と相関する作品について、新たに、イタリアのフィレンツェでイタリアにおけるピクトリアリズムの資料を「アリナーリ兄弟写真史美術館」(II Museo di Storia della Fotografia Fratelli Alinarin)に付帯する施設で収集した。これについては継続的に検討を加えた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] F・ホランド・デイとピクトリアリズム2009

    • 著者名/発表者名
      犬伏雅一
    • 雑誌名

      大阪芸術大学 紀要<藝術> 32

      ページ: 19-30

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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