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2010 年度 実績報告書

ピクトリアリズムと近代視覚体制の危機

研究課題

研究課題/領域番号 20520143
研究機関大阪芸術大学

研究代表者

犬伏 雅一  大阪芸術大学, 大阪芸術大学芸術学部, 教授 (70340594)

キーワード芸術諸学 / ピクトリアリズム / 視覚体制 / カメラ / 身体 / モダニズム
研究概要

今年度は、前年度冬に実施できなかった、F. Holland Dayに関わる調査をボストンで実施した。デイの写真行為を成立させた19世紀末ボストンの文化状況とデイ自身の活動した場を調査し、立体的にデイの写真行為の生成をとらえるため、デイの活動と直接的な関わりのあった場所(自宅、在学高校、旧ボストン美術館、ビーコンヒルのスタジオ、スタジオ近傍の関連文化施設、ボストンのイタリア人移民地区)に加えてデイの文化的背景をなす関連美術館並びボストン市立図書館所蔵の文献を調査した。モダニズム的な写真思考を体現するスティーグリッツと対峙したデイの写真行為が19世紀の視覚体制の危機の文脈でどのようなポテンシャルを孕むものであるかについて一層大きなコンテクストから検討をしてさらに考察を深化させた。また、引き続いて短期間ではあるが、ニューヨークの市立図書館でピクトリアリズムに関する文献、作品調査を行った。国内での文献調査である、この10年間にアメリカで提出されたピクトリアリズムに関する博士論文を検討し、フランスの雑誌La Lumiere、写真雑誌集成History of Photographyの写真についての理論言説を抽出することに専念した。19世紀の写真言説に近代的な視覚体制の危機がどのように現出するのかについて検討を加え、おおよその言説の布置を描き出しつつある。最後に、ピクトリアリズムを可能としたものはまさしく写真機であり、写真機そのものがピクトリアリズの言説編成の中でどのように扱われているかの検討を行った。写真機という装置が撮影主体とどのような関係を取り結ぶのか、また主体そのものの根底になにがしか関わるような次元を切り開くのかをライカ出現にいたる写真機史のなかで考察することの必要性を痛感し、この視点を今年度については新たに付け加えて、ピクトリアリズムと視覚体制の危機を一層多元的にとらえようと試みた。

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公開日: 2012-07-19  

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