1研究初年度に当たり、基礎となるデータの整備を行った。 (1)入手済みの、落語の顔付けデータベース(画像)の判読およびテキストデータ化当初計画通り、業務を研究補助者に委託の上、集計用データベースを作成した。 (2)落語興行データベース完備のための元データの購入、テキストデータ化 定席以外の代表的落語会(東京落語会・落語研究会・東横落語会など)の出演者データを「ご存じ古今東西噺家紳士録」より抜き出してデータベース化した。権威ある落語会には技量の劣る落語家はほとんど出演しない。さらに、このデータは数十年の歴史を持つ各落語会の出演者をほぼ網羅している。そこで、これを集計用に整備することにより、長期間にわたる、ある程度「実力」の目安となるデータを作成した。 (3)日本俳優協会作成の歌舞伎興行データベースの内容を精査し、集計用に役者名の表記の統一(旧字を新字にする、「團十郎11」などの「何代目か」の表示を半角に統一するなど)を行った。 2分析の視座を確定するために、該当分野の専門家へのヒアリングを行った。 現役の落語家、そして演芸評論家に現在の落語界の現況および想定される留意点(落語協会分裂騒動前後の定席の動き、落語協会と落語芸術協会の志向的相違など)、さらに、比較対象として上方落語の寄席定席支配人に、(東京では当たり前である)定席の存在価値や、東京の定席との運営上の相違点などをヒアリングした。
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