1、データの整備 前年度に引き続き、落語の顔付けデータベース、および歌舞伎興行データベースの整備を行った。今年度は、落語については定席以外のいわゆる「ホール落語」で歴史の長いものの出演者リストのテキストデータ化と、昨年度作成したテキストデータのデータチェック、既存の出演者データとの照合作業を行った。歌舞伎については、演目別出演者数データ作成の基礎となる「配役データ」の加工を行った。 2、世代交代に関する分析 研究本来の目的である「世代交代の発現」に関する研究を開始し、落語における「一門内」および「実の親子間」での世代交代に関する分析をSASユーザーフォーラム、統計関連学会連合大会で発表した。これらは高い評価を受け、SASユーザーフォーラムでは審査員特別賞を受賞し、統計関連学会での報告は、朝日新聞全国版(社会面)に掲載された。 3、データベースの拡張、研究継続への新たな展開 江戸時代の歌舞伎興行データベースを所有する立命館大学アート・リサーチセンターにデータベースに関するヒアリングを行ったところ、当方の研究との接点が多々見受けられた。また、センターの方向性(統計的思考を重視した人文学解析)も自身の研究志向と合致するため、立命館大学文字研究科博士課程の学生として大学のデータベースの供与を受け、本研究を発展させる形で博士論文にまとめることになった。このことにより、従来全くつながりのなかった演劇学関係の研究者との接点が生まれたので、日本演劇学会等での研究発表を視野に入れられることになった。
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