近世文学研究を出版史の解明という観点において考察する研究で、これまでジャンルごとに行われてきた出版史の研究を、一旦その枠を取り払って時期を限定して出版物の全体的な調査を行い、そこから見えてくる事実をジャンルごとの個別の問題に還元しようとする新たな発想の研究である。具体的には万治・寛文期に集中して出版された所謂江戸版とその元版である京版の関係を様々な角度から考察し、その成果を文学研究に資する方法を用いる。方法としては万治・寛文期を中心とした江戸版と京版の悉皆調査を行い、それらの関係性から、出版界の様相やジャンルの問題、版権の問題等の分析を行う。
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