研究課題/領域番号 |
20520159
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
弓削 繁 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10127798)
|
研究分担者 |
小林 幸夫 東海学園大学, 人文学部, 教授 (50249299)
榊原 千鶴 名古屋大学, 男女共同参画室, 准教授 (50313979)
小助川 元太 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30353311)
|
キーワード | 月庵酔醒記 / 一色直朝 / 戦国末期 / 文化継承 / 知識 / 中世文学 |
研究概要 |
本研究は、古河公方足利晴氏・義氏に仕えた一色直朝(月庵)が編纂・著述した『月庵酔醒記』の研究をとおして、戦国末期における東国武将の文化継承の実態を解明するところにある。 戦国末期は文化が中央から地方へ、公家から武家・町人等へと広がりをみせ、次第に聖なるものから俗なるものへと変容を遂げていく時期に当たっている。そのような時期に多様な分野の<知識>を百科辞書的に集成したのが『月庵酔醒記』であるが、その<知識>の意義や由来を十全に捕捉することは、関連資料の博捜や詳細な注釈作業が不可欠になるだけに個人研究では限界があったが、私たちは専門分野を異にする複数の専門家による共同研究という体制をとることでこれを克服してきた。 具体的には、準備段階から継続してきた輪読研究会をベースに、平成20年度から22年度前半までは典拠研究に重点を置き、22年度後半から23年度は、新資料の発掘に努めるとともに、このような基礎研究から更に文化継承上の諸問題へと研究課題を深化、発展させてきた。23年度は隔月1回4時間の研究会を開催、各回1、2名がそれぞれの課題に即して研究発表を行い、全員で討議し、論文にまとめるという活動を行ってきた。また6月には外部から専門家を招き、鷹書に関する講演会を開催した。 こうして、本年度は4年間の集大成として、服部幸造・弓削繁・辻本裕成編『中世<知>の再生『月庵酔醒記』索引と論考』(三弥井書、平成24年2月)を刊行したが、その結果、前年度までの『月庵酔醒記』の上・中・下3冊の注釈書と併せて、『月庵酔醒記』の読解をとおして戦国末期の過渡的な文化状況を具体的に解き明かそうという、当初の目的をほぼ達成することができた。
|