本年度は、日本と中国の中学・高校の現行教科書の各教科の代表的な教材を収集したのをうけて、研究代表者、研究協力者の各自の研究のほかに、東京と京都で計三回、研究協力者との間で研究計画の打ち合わせと研究活動を行った(旅費執行)。具体的な作業としては、(1)明治以降日中両国の国語教育史対照年表の作成に着手したこと(李、田担当)。(2)日中両国の主な教科書における漢字の使用実態を調査した(菊地、李担当)。これによって、国語教育における漢字の字体、字数、意味との関連性などの問題が浮き彫りにされることが期待される。(3)中国の初等、中等教育のための漢文に関する教科書・指導書を収集し、その題材別の比較検討を行った。そして、中国における初等・高等教育の実態を把握する目的で平成21年度に予定している研究交流活動の交渉と資料収集のために、研究代表者が計二回中国の大連、長春に赴き、実地調査に基づいて、中国吉林省長春市第十一中学(高校)と東北師範大学付属中学をモデル校として選定した。それにともない、中国側の研究協力者として、夏光民(長春第十一中学国語科主任)、張彬、李林(同教師)、李頴(東北師範大学付属中学校長)、王江春(同国語科主任)を新たに加えた。21年度9月の研究交流活動についても基本合意しており、研究代表者、日本側の研究協力者(菊地隆雄・東京都小石川高校教諭、全国漢文教育学会常任理事)の両校の視察、授業参観、担当教員との座談会などを通じて、両校の実践的な取り組みを詳しく知るための準備が整った。
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