『大安寺碑文』注釈を完成。海外の研究協力者と『唐大和上東征伝』翻訳に関する研究協議を重ね、鑑真の第五次渡海行に関わる中国南部の遺跡踏査を実施した。これにより、八世紀における大安寺をめぐる在家・出家のネットワークが徐々に解明された。新たに、「蔵書ネットワーク」という観点を提起した。鑑真伝の解読によって、大安寺・鑑真・聖徳太子信仰の結びつきが、現地踏査によって、鑑真伝と中国・南宗禅の密接な関係、聖徳太子慧思禅師託生説の生成に大安寺文化圏の出典体系が影響を与えていることがあきらかになった。実施内容は、5月5~10日、鑑真遺跡踏査と中国・中山大学で講演「広州における鑑真和上」(8日)。5月23日、國學院大學で「上代文学会・古事記学会合同大会」研究発表「『延暦僧録』と大安寺文化圏」、『上代文学』第117号に論文発表。8月13~20日、スウェーデン・イエデポレ大学にて『唐大和上東征伝』国際ワークショップ。8月5日、日本大学大学院文学研究科集中講義。8月27~30日、於休暇村近江八幡・西館。宗教史懇話会サマーセミナーで研究発表「大安寺文化圏とは何か」。9月14~18日、韓国・成均館大学「東アジア三大学国際シンポジウム」で研究発表「日本・奈良時代における個人の伝の成立一鑑真伝『大唐伝戒師僧名記大和上鑑真伝』から『唐大和上東征伝』へー」。11月16日筑波大学で説話研究会研究発表「七代記の成立」。12月10~13日鑑真遺跡踏査(奈良)、15~17日研究協議。12月26日『日本書紀』研究会研究発表「『七代記と鑑真一行」。1月24~31日鑑真遺跡踏査。2月9日早稲田大学『大安寺碑文』研究会。3月20~31日イタリア・国立サレント大学で研究協議と講演。
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