研究課題
2008年度の本研究では、(1)〜(3)の研究を行った。(1)絵本をめぐる<研究><創作><伝達>の研究:絵本内容を分析し特色や魅力を探る<研究>の授業「絵本作品研究」などを通して、学生は絵本に対する理解を深めた。一方で、学年を追い段階を経ながら展開する<創作>の授業「絵本制作基礎」「絵本作品制作」「絵本制作演習」で絵本の創作をし、絵本制作展で発表をして、学生は感性と表現を磨いた。4年生は卒業制作で創作の集大成をした。これらの<研究><創作>以外にも、乳児、幼児、児童たちの前で絵本の読み聞かせをする授業・課外活動では、準備として絵本への理解を深めるだけでなく、子どもたちの反応にさらに勉学の意欲を高める現象が見られた。これらの絵本をめぐる<研究><創作>の教育の教材や成果は、『絵本の歴史と絵本制作』(香曽我部秀幸編)にまとめられ、テキストとしても使われた。さらに授業以外の活動も含めて「梅花女子大学児童文学・絵本センター報第4号」(田中裕之編集)に記録した。絵本に対する関心は、学部生では、創作分野、伝達分野に高いが、大学院においては研究分野に高く、論文や修士論文などに成果が見られた。これらは、絵本をめぐる<研究><創作><伝達>の教育についての実践的研究、基礎研究としての近代以前の絵草紙研究や近代期の絵本の研究の成果と考えられる。(2)児童文学における作品研究:絵本を理解するためにも、物語の<創作>の基礎力養成のためにも、日本・外国の児童文学の作品分析に関する研究、児童文化の研究は、基礎研究としても、教材研究としても必要である。研究分担者は各専門分野において、授業と論文等にその成果を示した。(3)幼児教育・保育との関連の研究:子どもは物語・絵本・昔話に親しみ、想像力を高めて、物語経験をすることで心を豊か成長させることは、多くの研究が示している。それを理解しながら実感する教育の一つとして、絵本の世界を描いた音楽を演奏する実践が展開された。また、梅花幼稚園での文庫活動は大学の授業、幼稚園の部活動として継続した。これらの成果は幼児教育・保育への具体的な提言を秘めていると考えている。
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梅花女子大学文化表現学部紀要 第5号
ページ: 45-55
『昔ばなしで親しむ環境倫理〜エコロジーの心を育む読み聞かせ〜』(小長谷有紀編、くろしお出版)
ページ: 169-189
子どもの文化 40(7)
ページ: 42-50