中世中期から江戸初期にかけて相当数が流布したと考えられる歌題集成書類を収集し、それらの相互の関係や取材源の解明、各歌題集成書類の諸本分類、位置づけを明らかにするために必要な基礎的研究をおこなった。研究対象書目を個別に閲覧調査の上、紙焼きを入手し、その本文はフルテキストデータ化し内容の検討を重ねた。その結果、佚書と考えられていた『袖中題鈔』が国立歴史民俗博物館蔵『組題集成』(1)に含まれていることを明らかにするとともに、同類の書が複数存在することやその内容が江戸期に版行された『和歌組題集』の一部となっていること等を示した。また『明題古今抄』については、本文を翻刻し、諸本関係や資料的価値を明示した。本研究により、和歌史における歌題集成書の意義を、今後、一層解明することが可能となった。
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