本年度は、課題遂行二年目であり、昨年同様、概ね申請時作成「研究計画・方法」に基づいて研究活動を行った。また、それらの公表に努めた。 以下、その立項に従って記述する。 A領域-2009年に米国メリーランド大学プランゲ文庫及び米国公文書館を訪問し、GHQ/SCAP検閲の原典調査を行い、周辺資料を収集した。B領域-プランゲ文庫で確認した検閲原典などを、帰国後、国立国会図書館などで追確認作業を行い、また個人所蔵資料と対照し、本文分析に努めた。C領域-長崎や沖縄や東京在住の個人が所蔵する関連資料のなかから、長崎・敗戦期文学・GHQ/SCAP検閲に関する資料を直接に確認し、また資料を借用し、その分析などを続けた。D領域-他の調査項目と重複するため、調査を行わなかった。E領域-プランゲ文庫所蔵資料に、太宰治作品関連などを直接確認し、検閲過程などの分析を行った。F領域-検閲制度の分析を継続し、その一部は2010年に論文発表する予定である。G領域-長崎県立図書館などに関連資料を求めた。H領域-敗戦期の長崎文学や長崎原爆に関連し、またGHQ/SCAP検閲の処分対象となった作品に関連し、その本文確認や資料整理に努めた。I領域-前年度の短期渡米調査で収集した旧内務省検閲関連資料を、在米研究者との共著の形で論文を執筆し、それを公表した。J領域-この時期に関する「私的年表」制作などを通じ、プランゲ文庫やその周囲事情の史的位置付けを確定する作業を継続している。
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