今年度は、課題遂行三年目である。前々年度及び前年度からの作業を継続した。それらは、概ね、申請時作成の「研究計画・方法」に基づいたものであった。一部の成果は、副次的に、「幻の世界遺産-被爆遺構・長崎浦上天主堂の記録」パネル展示」(2010年9月17日~9月26日.東京都中央区銀座長崎センタービルギャラリー.主催:NBC長崎放送後援:長崎県.長崎市.長崎新聞.岩波書店)などの形でも公表された。しかし、日本国内の資料や文献調査、地域史研究(長崎の歴史性や文化性)に力点を置き、この成果の公表に努めることで、新たな展開を得られるとの目論見を先行させたため、在米資料の調査研究が十分ではなかった。また、未だ公表に至らないものもある。次年度以降の調査研究活動で、この不足を補いたい。以下、研究計画の立項順に記述する。A領域-2010年度は渡米調査を行わなかった。/B領域-A領域の調査に間接的に対応し、これまで収集した国内文献の追確認調査を行った。/C領域-長崎県や他地域の個人所蔵の関連資料を求めた。その結果、長崎・敗戦期文学・GHQ/SCAP検閲に関する資料を直接に確認し、また資料を借用し、その公表に努めた。これらの成果は、当初の目論見になかったことである。他方、未公表段階にあるが、別資料などを踏査した。/D領域-国立国会図書館で関連資料の収集に努めた。/E領域-原典資料を分析し、C領域の成果に組み入れた。/F領域-C領域に関連し、検閲制度の事例研究を進めた。/G領域-C領域に関連し、長崎県立図書館所蔵資料から薪たな解明を試みた。/H領域-C及びG領域に関連し、書誌的分析を行い、不可視的文学動向を分析した。/I領域-調査による成果を得ることが出来なかった。/J領域-この時期の史的項目整理を継続した。
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