本研究は、朝鮮総督府が朝鮮支配のために国語普及を目指した朝鮮教育制度の内実を把握するとともに、教科書編纂の思想と背景についてあきらかにしたいと考えるものである。具体的には、『普通学校国語読本』『修身書』を用いて、表記法、教授法、教材内容及び挿絵、編纂趣意・執筆動機、執筆者及びその背景、といった項目について総体的に分析したい。 朝鮮総督府発行教科書は、併合期から敗戦までの間5回にわたって大幅な改訂がされているが、とくに『国語読本』と『修身書』は内容的・思想的にも相互補完しているもので、朝鮮教育の根幹をなすものである。これらの成立について、『国語教授法』『編纂趣意書』等の教授法をあわせて分析を試みる。 それには教科書のみならず膨大な朝鮮教育資料が必要とされるわけだが、その多くは韓国内図書館に蔵されている。本研究は教科書分析とともに、資料の収集も重要な作業となっている。
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