本研究では近世初頭前後の説話・縁起関係資料の禁裏伝来状況を調査し、以下等の結論を得た。 ・近世初頭の禁裏には畿内を中心とした社寺の、ある程度数の縁起が伝来した。但しその頃に伝えられていたものと現在に伝わるものとは、種類が異なる。万治四年(1661)焼亡後の文庫再建方針に起因すると思われた。 ・説話類も当該期には『古事談』『撰集抄』など、若干数が伝えられていたことが確認できる。 但し12の例外を除いて現在には伝わらない。 ・当該期に禁裏伝来が確認できる『十一面観音縁起』『古事談』『十訓抄』等の個別作品研究を進めた。
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