2010年度は、柳宗悦がブレイクをどのように理解したのかを調べるために、柳が参照したブレイク研究書の洗い出しを行った。また、明治・大正期のブレイク受容史における柳の著書『ヰリアム・ブレーク』の位置づけを測定するために、ブレイクの影響を受けて創作活動をした詩人の一人である三木露風について調査した。ブレイクとの影響関係が想定される詩人や作家は多く存在するので、個別事例の収集を開始した。あわせて、明治・大正期のブレイク受容史を再確認する作業に着手した。 研究成果は二点である。ブレイクと三木露風の影響関係について、平成22年5月20日-21日に東京大学本郷キャンパスで開催された国際学会「デジタル・ロマン主義」で口頭発表を行い、その後加筆修正を行った論文が、「ウィリアム・ブレイクから三木露風へ-『無垢と経験の歌』の変奏曲-」として、『比較文学』第53巻(日本比較文学会)に掲載された。また、明治・大正期におけるブレイクの翻訳の一側面を扱った論考が、『イギリス・ロマン派研究』第35号(イギリス・ロマン派学会)に掲載された。
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