本研究の目的は、インド、英国、日本という三つの異なる地域の間で生じた異文化交流の諸相を、具体的なテクストに基づき、比較文学の観点から考察することにある。研究対象として、18世紀英国の詩人・画家・銅版画師であるウィリアム・ブレイク(1757-1827)のテクストと、ブレイクの影響を強く受けた近代日本の思想家である柳宗悦(1889-1961)のテクストを取りあげる。両者のテクストをそれぞれの歴史的文脈において分析し、その影響関係を実証的に探ることによって、異教がインドを出発点としてブレイクに受容されて多神教的なキリスト教を生み、さらに柳へ流れ込んで多文化共生の思想として結実するに至った過程を明らかにする。
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