本研究の目的は、アメリカ合衆国において、いわゆる「〈9・11〉以降」と呼ばれる状況のなか、そのような社会経済政治構造の変化を重要な文脈と見なしつつ、現代アメリカ演劇がどのような展開を見せているのかを実践的・理論的水準で把捉することにある。本研究では、これまでの研究成果をふまえ、「〈9・11〉以降」という同時代のキーワードを導入することにより、各国文学研究の下位に位置づけられてきた研究分野としての「演劇」ではなく、大きく変容を遂げつつある世界=グローバルを理論化・問題化しつつ、文化・芸術実践の重要な場所(サイト)として、アメリカ合衆国=ローカルにおける2001年以降のアメリカの現代演劇実践を比較演劇学的に捉えようとするものである。
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