本研究の目的は、F.V.ディキンズの未公刊の書簡を翻刻出版し、サトウ、アストン、チェンバレンを代表とする日本研究において見落とされてきたディキンズを、日本学者として評価し、位置づけることにある。ディキンズ研究の基礎資料として、サトウ宛および南方熊楠宛の書簡を整備することは意義のある作業である。 初年度は研究代表者の体調不良により、研究の当初計画に変更があったが、平成21年6月30日の完了時期までに、以下の研究を遂行した。 (1)翻刻・翻訳・注つけ作業の推進 ・南方熊楠宛書簡50通について、日付の不明な書簡について年代の特定を試みるとともに遺漏のないことを確認した。 ・サトウ宛書簡74通について、共同研究者のピーター・コーニッキ教授と翻刻および翻訳の作業を進めた。 ・両書簡について注付けの作業を進めた。 (2)ディキンズ研究 ・ディキンズの日本における足取りを中心に調査し、函館で発生したアイヌ人骨盗掘事件との関わりについて論考をまとめた。
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