本研究の目的は、F.V.ディキンズの未公刊の書簡を翻刻出版し、サトウ、アストン、チェンバレンを代表とする日本研究において見落とされてきたディキンズを、日本学者として評価し、位置づけることにある。ディキンズ研究の基礎資料として、サトウ宛および熊楠宛の書簡を整備することは、重要かつ意義ある作業である。 研究の中間点にあたる本年度は、前年度に引き続き、以下の作業を推進した。 (1)書簡の刊行に向けて ・熊楠宛書簡(50通)の原文照合および注の整備 ・サトウ宛書簡(74通)の翻刻および翻訳の原文照合 (2)ディキンズ研究 ・晩年における日本観の変化を、サトウ宛書簡を主な資料として跡づける。 (3)その他 ・最終年度での書簡刊行を目指して、出版社との打ち合わせ、序文の執筆に向けての資料収集を行った。
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