研究概要 |
本研究の目的は、コンピュータを利用し、『カンタベリー物語』について、2つの代表的な写本と2つの代表的な刊本を取り上げ、4つのテクストを対応させたコンコーダンスを作成し、チョーサーの言語研究及びtextual criticismに貢献することである。写本は、Hengwrt(以下、Hg)写本とEllesmere(以下、El)写本を、そして刊本は、Hgに依拠したBlake(1980)とElに依拠したBenson(1987)を取り上げた。 平成20年度においては、残りのコンコーダンスの作成、The Clerk's Prologue and Tale,The Merchant's Prologue,Tale and Epilogue,The Squire's Introduction and Tale,The Franklin's Prologue and Taleに関して、上記2写本及び2刊本に基づいて、包括的な校合コンコーダンスの作業を終えた。写本・刊本の交合結果(文字、形態、語彙等の異同)の一部を英国スオンジーで2008年7月に開催された新チョーサー学会で口頭発表した。多くの学者の意見を得て、改善点が明確にされた。 上記のコンコーダンスは、Stubbs(2000)のCD-ROM及び関連データに大きく依拠している。国際的連携の一環として行われた。Jimura,Nakao,Matsuo,Blake,and Stubbs(2002)、Nakao,et al.(2004)、Nakao,et al.(2006)、平成19年度のThe Cook's Prologue and Tale,The Wife's Prologue and Tale,The Friar's Prologue and Tale,The Summoner's Prologue and Taleのコンコーダンス作成に続くものである。
|