研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、ヴィクトリア朝後期の女性著述家による「抗議と抵抗の文学」としての散文をジャンル横断的に解明し、女性の政治的想像力によるネットワーク形成の様相を検証することを目指した。ジョゼフィン・バトラーの性病予防法撤廃運動と執筆活動は、女性に自らの身体への意識を高め、さらに女性医師のパイオニア、エリザベス・ブラックウェルの著作における近代医学による女性身体への暴力と搾取に対する抗議は、女性が性について語る契機をもたらし、世紀末の〈新しい女〉の誕生へと連動する。セアラ・グランドの文学作品に刻まれた性のダブル・スタンダードへの抵抗と、医師、医療による女性の心身の虐待への抗議には、バトラーとブラックウェルらの声の継承を確認することができた。また、医師で著述家のマーガレット・トッドとアラベラ・ケニーリーの小説において、女性医師には同性の身体の守護者としての使命が付与され、同時にそのことが物語の展開上でも重要な役割を果たすことが明らかになった。国際学会において、2008年にバトラーについて、2010年、2011年にはトッドとケニーリーに関する研究発表を行った。また、バトラーに関する論文はラウドレッジ社の学際的女性史雑誌に掲載予定となり、国外へも研究成果を積極的に発信することができた。
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ヴィクトリア朝文化研究
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http://dx.doi.org/10.1017/S1060150310000288
Women's History Review(Routledge, forthcoming)