シェイクスピアの道化の研究も最終年度となり、現代の道化の全体像を明らかにすべく研究を進めると同時に、日本シェイクスピア協会主催のシェイクスピア学会および早稲田大学グローバルCOEプログラム講演会という国内でも主要な場で成果発表を行うことができた。今年度は特に日英の比較のために、シェイクスピアの主要な道化の登場するKing Lear、Twelfth NightおよびAs You Like Itの3作品に関して、蜷川幸雄演出による以上の作品の上演、りゅ一とぴあ・シェイクスピア・シリーズにおける上演、および串田和美演出の『十二夜』、俳優座公演『リア王』などにおける道化の表象を検証した。また、夏に再度イギリスに出向き、Shakespeare Birthplace Trust、Globe Theatre Archive、National Theatre Archiveを訪れ、補足調査を行った。現代の舞台において道化を再生するにあたり、シェイクスピアのテクストをどう処理するかが最大の問題点である。したがって、テクストと上演の関係、言語と役者の身体の関係に関して、役作りの特徴を日英の舞台において比較した。さらに、研究成果は、2011年7月に開催される第9回世界シェイクスピア会議においても、"Unfunny Fools:Feste and Touchstone in Comic Scenes"というタイトルで発表する予定である。
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