研究概要 |
(1)文学作品の分析:Gabriel Harveyを巡る論争とプロテスタント・ミリタリストの人脈を中心に作品の分析を行い、ロンドンにおけるEdmund Spenserと騎士道ロマンスの文化的役割と絡めつつPedantius(1581)という大学演劇について、またロンドンにおける民衆騎士道ロマンス演劇の復興とからめつつRichard RobinsonのAssertio inclytissimi Arturii regis Britanniae(1582)について分析した。その成果はInternational Shakespeare Conference、日本シェイクスピア協会の学会、及び日本中世英語英文学会の全国大会の研究発表やシンポジウム、またStudies in English Literatureの研究論文という形で発表した。(2)大学学寮及び地方都市の演劇関係一次史料の調査:ケンブリッジ大学古文書館における裁判記録や学寮出納簿の調査を行った過程で、劇作家John Fletcherに関する一次史料を発見した。これはFletcherに関する従来の定説を覆す史料であり、学寮と都市の関係性を探るにも第一級の貴重な史料である。その研究成果を纏めEarly Theatreにおいて発表した。(3)地方史に関する第二次史料の調査:地方人脈が大学の文化的環境の中でどのような役割を果たしていたかを様々な側面から明らかにするために、地方史(特にイースト・アングリア地方及びケント地方)に関する第二次史料を渉猟した。その結果、特にロンドンへ流入する劇作家たちは、地方人脈を経て、Privy Councilのメンバーとの繋がりを持つことが判明し、現在、Marlowe及びWatson,Spenser,Lylyといった大学才人たちのロンドンにおける活動とPrivy Councilとの関連について論文を執筆中である。
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