本研究は、アメリカ独立革命期の建国神話がいかに構築され、建国の理念や矛盾が共和政期以降の大衆文学や文化において、いかに表象され、かつそれがどのように大衆に受容されていったのかを包括的に探るものである。 平成20年度に関しては、白川は、「アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの大衆的伝記の影響力とアンテベラムにおけるアメリカン・レジェンドの完成」を研究の中心テーマとし、また林は、「ジェイムズ・フェニモア・クーパーを中心とする環大西洋的視座のもとでのアメリカ独立起源の想起」についての研究・考察を進めてきた。その過程で、各々の研究テーマについての成果を、白川は、日本英文学会全国大会(H20年5月)において口頭発表し、林は日本アメリカ文学会北海道支部大会の招待講演(H20年12月)において口頭発表した後、その内容を論文として支部会誌に出版発表した。 なお、白川、林の論文が、複数の執筆者との共著『独立の時代--アメリカ古典文学は語る』(林は執筆者兼編者として「あとがき」も執筆)に掲載されることが決定しており、世界思想社から近刊の予定である。『独立の時代』に収められる各人の論文タイトルは以下の通り。白川「売れる偉勲、憂うる遺訓--ウィームズの『ワシントン伝再考』、林「『開拓者たち』と家系譜の書き換え--上機嫌な時代の自己意識的なアメリカニズム」。
|