『進化論』を著したCharles Darwinの祖父であり、植物学者、発明家にして詩人のErasmus Darwinの詩作品、The Botanic Garden(1789-91)を詳細に読み解くことを通して、彼が成した文学と科学的探究の融合という一つの新しい視座が、Blake、Coleridge、Wordsworth、Shelley CircleやEleanor Anne Pordenといった広範なロマン主義文学者に与えた影響を分析した。昨年度に引き続き様々な関連資料を収集、整理した後、論文に纏め出版した。 イギリスの帝国支配の新しいシステムが、文学、思想上のロマン主義とほぼ時を同じくして現れ、征服、略奪から科学的探究へとその目的を移行しつつあったことに焦点を当てた。様々な科学的探究を目的に掲げたCaptain Thomas Cookの3つの航海(1769-1780)がこの変化に重要な役割を果たした事は明らである。普遍的かつ有益な知の追求を通して、地球全体を図化しようとするヨーロッパの自我の構築の一つの局面であったことを検証した。Cookの航海の目的の一つに地球磁力と極への科学的探究があるが、この事実と、Blake、Wordsworth、Coleridgeらが極の概念に取り付かれ、彼らの認識論が相対立する力、主体、客体、対立と調和に依拠していたこととは深く結びついている。これらの事実を踏まえて、コールリッジの『生命論』と『文学評伝』を詳細に読み解き、これらに通低している極理論と生命科学に基づく科学的言説を分析し、論文に纏めた。
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