研究概要 |
平成20年度における研究の主要な目的は中国系作家Maxine Hong Kingstonの作品にみるエスニシティと環境的想像力についての考察である。研究成果は雑誌論文一本、学会発表一回である。 1. 研究成果:〔雑誌論文〕「環境批評とエスニシティ-アジア系アメリカ文学研究と「パストラル」の変容」(AALA Journal(アジア系アメリカ文学研究会),No14:37-49)、〔学会発表〕「「モデル・マイノリティ」神話を脱構築する-Maxine Hong Kingstonの作品を中心に」(東北英文学会、於:東北学院大学) 2. 内容・意義・重要性:〔雑誌論文〕「環境批評とエスニシティ-アジア系アメリカ文学研究と「パストラル」の変容」は、キングストンの作品を例とし環境批評がアジア系アメリカ文学研究にどのように有効であるかを考察した。キングストンの描く庭を文学的「パストラル」理念の変容と捉え、アメリカ文学にみられる「パストラル」の文学的系譜を多義的かつ批判的に捉えうる「ポストコロニアル・パストラル」的視点の意義を展開した。〔学会発表〕「「モデル・マイノリティ」神話を脱構築する-Maxine Hong Kingstonの作品を中心に」は、キングストンが描く場所がエスニシティの生成の場としてのチャイナタウンから脱領土的に他者と共有され、そして想像/創造される新たな場の構築へと変容している過程を考察した。 平成21年度においては、以上の研究成果を踏まえ他のアジア系作家の作品にみる共同体や場所が彼らのエスニックな空間としてどのような環境的想像力を構築しているかを検討する予定である。
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